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『わがままいっぱいの国』 第6章 メラニー

2012.01.16 (Mon)

第六章  メラニー


 ふたたび宮殿のそとにでたとき、ミッシェールたちは、もう一度、顔を見合わせました。みんなは、少しこまったような顔をしていました。まったくのところ、いったい、みんなはこれからなにをしたらよいのでしょう?それには、今、何時なのか、それさえわからないのです。
 しばらくして、オリビエが口を開きました。
 「まほうの棒をつかって、なにかたべるものをつくったらどうだろう?」
 ミッシェールが答えました。
 「そりゃ、いいわね・・・・・・でも、わたしに、ちょっと考えがあるわ・・・・・・うんとひくいテーブルをつくりましょうよ、そうしたら、草の上にすわることができるでしょ。」
 ところがジェラルドが反対しました。
 「だめだよ!ふつうの大きさのテーブルをつくったほうが、うんとおもしろいよ。それから、ふつうの大きさのいすとひじかけいすもつくろうよ。」
 こうして、ミッシェールとジェラルドは、いいあらそいをはじめました。
 ジェラルドがこういってまほうの棒をふりました。
 「大きなテーブル、あらわれよ!」
 すると、とたんに、大きなテーブルがあらわれはじめました。
 ところが、ミッシェールのほうはこういってまほうの棒をふりました。 
 「いいえ、小さいテーブルのほうがいいわ。」
 すると、どうでしょう。なんにも、あらわれませんでした。ミッシェールとジェラルドは顔を見合わせてしまいました。そして、
 「おや、まほうの棒がきかない。」
と口をそろえていいました。
 そのとき、それまでミッシェールたちのやることをながめていたひとりの少女が、笑いながら、こう歌いはじめました。


 ここでは、おおくやればやるほどおおくなる
 少なくやればやるほど少なくなる 
 でも、おおくやって少なくやると少なくなる
 少なくやっておおくやっても少なくなる


 この少女は頭の毛が赤くて、いじわるい顔つきをしていました。
 「あの子、なにを暗しょうしてるんだい?」
とジェラルドがいうと、ミッシェールが答えました。
 「知らないわ。算術の問題でもとなえているんでしょ・・・・・・ねえ、ジェラルド、テーブルはわたしにつくらせてよ。そしたら、あんたには食器やテーブル・クロスをつくらせてあげるから。」
 やっと、ミッシェールとジェラルドは、力を合わせて食事のしたくをすることになりました。ミッシェールはカシの木でつくった美しいテーブルを注文しました。なぜなら、テーブル・クロスをかけたくなかったからです。
 でも、色の布でつくった小さなナプキンだけはほしいと思い、自分の名前の頭文字のししゅうがほどこしてあるのをつくりました。
 それから、ジェラルドが皿とコップを注文しました。ミッシェールの注文したナプキンがとてもうすいむらさき色なので、皿はレモン色にしました。
 オリビエはたべものをつくることを受けもつことにより、棒をふって、オレンジ・ジュースと、アイス・コーヒーと、あついココアを注文しました。
 エリアーヌはお菓子とジャムをつくることを受けもち、オデットはサンドイッチを受けもつことで、みんなにさんせいされました。
オデットはわかどりとハムとトマトのサンドイッチを注文し、そのうえ、小イワシとチーズのおいしいミックス・サンドもつけくわえました。
 じゅんびがととのうと、ミッシェールたちは、両手を満足そうにたたきながら、テーブルのまわりにあつまりました。それからジェラルドがいすをつくって、みんなはこしをおろしました。
 ところが、ミッシェールが、手をだしてみんなにココアをついでやろうとしたとき、あの赤毛の少女が、まほうの棒をふりあげました。かの女はそれまで、ミッシェールたちから目をはなさないでいたのです。少女がこうさけびました。
 「みんな、きえてしまえ!」
 すると、とたんに、ミッシェールたち五人は、こしかけているかっこうのまま下におちて、地面にどすんとしりもちをついてしまいました。そして、おどろきからわれにかえったとき、まわりにはいすもテーブルもありませんでした。みんなは腹をたてながら、赤毛の少女のほうをふりかえりました。そして、五人で口をそろえてこういいました。
 「あんた、だあれ?」
 「わたしはようせいのメラニーよ。」
 「どうして、わたしたちのたべものをひっくりかえしてしまったの?」
 「わたしはほしくないからさ。」
 「でも、わたしたちは、あんたになにもしなかったじゃない。」
とミッシェールがいいました。
 「わたしは、なにも、あんたたちがわたしになにかしたなんていってないわよ。」
とメラニーが答えました。
 「じゃあ、なんだって、わたしたちにけんかを売るのよ?」
 するとメラニーがこういいました。
 「あんたには、したくないっていう権利があるわ。そして、わたしにはしたいっていう権利があるわ。」
 それから、メラニーはこう歌いました。



ようせいたちよ、ただひとつのきまりは、
わたしたちの心のなかにある。
 それは、どんな気まぐれもしでかすきまり、
 なぜなら、かしこいだけは、ばかだから、
 ぎょうぎよいだけは、ぶさほうだから、


 「そのぐう話はききあきたわ。」
とミッシェールはいいながら、まほうの棒をふりました。
 「テーブルよ、もどりなさい!」
 すると、メラニーも自分の棒をふりながら、さけびました。
 「テーブルよ、もどってこなくてもよい!」
 テーブルはあらわれませんでした。
 ミッシェールが四人の友だちのほうをふりむきながら、こういいました。
 「こんなことってあるかしら。せめて半分の高さのテーブルがあらわれたっていいのにね。」
 ところが、メラニーは歌いながらおどりはじめました。


 ここでは、おおくやればやるほどおおくなる
 少なくやればやるほど少なくなる 
 でも、おおくやって少なくやると少なくなる
 少なくやっておおくやっても少なくなる


 どうやら、今にもけんかがはじまりそうなようすになってきました。五人の子どもたちは、ちょっと戦いの相談をしました。
 「どうしようか?」
とジェラルドがいいました。
 「あいつ、ひっぱたいてやらなくちゃ。」
とオデットがいいました。
 「うん。でも、あいつがたたきかえしてきたら、どうする?」
 「でも、まさか、たべながら、けんかをすることはできないでしょ。」
とミッシェールがいいました。つづけて、エリアーヌがいいました。
 「とにかく、ふくしゅうしてやらなくちゃあ。」
 「あんなやつ、おっぱらうべきよ。」
と、これはオデットのいいぶんでした。
 ところが、ここで、ジェラルドがおもしろいことをいいだしました。
 「それとも、そ、あいつを食事にさそってやったら、どうだい。」
 ほかの四人は思わず顔を見合わせました。
 そして、ミッシェールが口を開きました。
 「あんたも、ときどき、いいことを思いつくわね・・・・・・わるかない考えだわ。あの子を食事にさそったら・・・・・・うん、どうやら、ほかに、あの子をおとなしくさせる方法はなさそうね。」
 しかし、エリアーヌがちょっと反対しました。
 「でも、あの子はわたしたちの友だちじゃないわ。」
 「食事にさそっちまえば、友だちになるじゃないか。」
とジェラルドがいいました。
 ミッシェールがメラニーのところへあゆみよっていきました。赤毛の少女はいかりにもえる目をぎょろぎょろせながら、遠くから五人のほうをうかがっていたのです。
 ミッシェールが口をひらきました。
 「わたしたちと食事しない?」
 「いやよ。」
 「なぜ?」 
 「だって、ほしくないもん。」
 これをきいて、オリビエがあきらめたように、こういいました。
 「よし、みんなでやっつけちまおう。いじわるもほどほどにしろってんだ。」
 そこで、五人は、少しきょりをおいて、メラニーをおいかけはじめました。こうして五人が、リンゴの木の下を、二、三百メートル走っていくと、とつぜん、地面たたきさんの目の前にきてしまっていることに気づきました。
 地面たたきさんは、しばふのまんなかにたって、足もとにおいた小さなボールを用心深くたたこうとしているところでした。
 ミッシェールと四人の子どもたちがさっと道をひらくと同時に、地面たたきさんが大きくうでをふって、思いっきりボールをたたきました。
 とたんに、さけび声がきこえました。見ると、ボールが赤毛の少女の胃のくぼみに命中したのでした。
 「ひゃあ、あいつ、ひっくりかえっちゃったぞ!」
とオリビエが勝ちほこったような声をあげました。
 地面たたきさんが口をひらきました。
 「あの子がわしのボールをとめちまった。この土地はあそびにくいな。」
 そして、じぶんでじぶんをなぐさめるように、かれはまほうの棒としてもつかえる、先に鉄のついた棒で、リンゴの林のまわりに、わすれなく差と赤いチュウリップの美しい花だんをつくってしまいました。
 それからしばふの上にこしをおろすと、大きなあくびをして、いいました。
 「花が早くさくなあ。これだから、この国はたいくつだよ。」
 エリアーヌが口をだしました。
 「さあ、女王さまのところへいきましょうよ・・・・・・女王さまは気まぐれだけど、美しいわ。」
 「うん、女王さまのところへいこう。」
と地面たたきさんも、おうむがえしにいい、そして、鉄の先のついた棒をぶらんぶらんさせながら、ミッシェールたちのあとからついていきました。棒の下の草の中に、野生のヒヤシンスがさきはじめました。

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