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『わがままいっぱいの国』 第3章 くもの羽

2012.01.16 (Mon)

第三章  くもの羽


でたらめカラスがいいました。
 「さてこんどは、ドレスと羽と、つえをさがしにいかなけりゃならん。」
 「わたし、羽とまほうのつえが持てるの?」
 「あたりまえだよ・・・・・・とにかく、おめでとう。」
 こういうと、カラスはかた足をミッシェールにさし出しました。
 「なんで、おめでたいの?」
 「あんたがようせいとして認められたからさ・・・・・・これはめいよなことだよ。」
 「でも、認めたのはあなたじゃないの?」
 「そのとおり。わしに認められたからこそ、おめでとうといっておるのだ。わしに認められるということは、めいよの中でもこの上ないめいよだよ。」
 「それじゃ、なぜ、あなたはじぶんでじぶんをようせいに任命しないの?」
 ミッシェールがこうたずねると、カラスが答えました。
 「わたしはカラスのままでいたいからさ。」こういうと、カラスはまどからでて、地上にぴょんととびおりました。それからめがねをたたんで羽のなかにしまうと、ミッシェールに向かって、ついてくるようにと合図しました。
 ミッシェールはカラスのあとから、木立のなかをだまって歩きました。やがて大きなカシの木の前につきました。カシの木には、つぎのようなけい示板がはりつけてありました。


三万六千のわがままができる国・用具置場案内

               つえ・・・・・・二階 W 号室
               飛行用具・・・・三階 L 号室
               飛行衣類・・・・四階 X 号室


でたらめカラスが、木の皮の下にかくれているボタンをおすと、ドアがひらきました。
 ミッシェールはびっくりしてさけびました。
 「あら! なんてすてきなエレベーターだこと! こんなの見たら、おとうとのオリビエがきっとよろこぶわ。オリビエったら、エレベーターが大すきなんだから。」
 すると、でたらめカラスがたずねました。
 「じゃ、あんたはどうかね?」
 「わたし? わたしはカラスがすきよ。」
とミッシェールは答えました。かの女には、どういえばカラスがよろこぶか、わかってきたのです。
 おせじをいわれて、黒いカラスは、よろこびに赤くなりながら、羽でミッシェールの足をなでました。そして、
 「あんたはじつに勇かんな少女だな・・・・・・さてと、わしのいうことをよくきくんだよ。エレベーターにのったら、ドアをきちんとしめるんだ。それから、『衣類置場の階』と書いてあるボタンをおすんだよ。そとに出られるからな・・・・・・。」
 「おりたら、エレベーターをもとに送りかえすわね。」
とミッシェールはいいました。
 「それは、あんたのすきなようにするがいい。あんたはもうようせいなんだから、やりたいことをやればいいのさ・・・・・・エレベーターをおりて、右手を見ると、へやがひとつある。そのドアには、『セレストさんのへや』と書いてあるはり紙がしてある。そのドアをたたくんだ・・・・・・セレストさんは、ようせいの衣しょうがかりなんだ。」
 「その人はやさしいの?」
とミッシェールはたずねました。
 「かの女は衣しょうがかりさ。」
とカラスが答えました。
 そしてミッシェールをエレベーターのなかにおしやりました。
 なにもかもうまくいきました。エレベーターにのっているあいだ、ミッシェールは、このまま最上階までいってしまい、家の屋根をつきやぶってしまうのではないかしら、と心配でした。ところが大きなカシのなかのエレベーターは、ちゃんと四階でとまりました。
 エレベーターからでると、セレストさんのへやのドアはすぐ見つかりました。そのドアをたたくと、なかからつぶれた声が、こうさけびました。
 「おはいり!」
 へやのなかにはいると、ひとりの年とった女のひとがいました。黒いきぬの服を着て、銀色のかみの毛の上に白いぼうしをかぶっていました。
 「こんちは、おじょうさん、あなたはどなた?」
とその年とった女のひとがたずねました。
 ミッシェールはその女のひとに、カラスから渡された厚紙をさしだしました。そして、「わたしはようせいのミッシェールです。」といいました。
 「わかりました。では、さっそく、あなたのおせわをしてあげましょう。」
 ミッシェールは、このセレストさんのあとについていきました。セレストさんは小さならせん階だんをあがると、ドアをあけました。ドアから出てみると、そこはカシの木のてっぺんにつくられた広い屋上でした。
 その屋上のまわりに見えるものといえば、よくしげっている葉ばかりで、その上には空しか見えません。
 ミッシェールはびっくりして、たずねました。
 「衣類はどこにあるんですか。」
 セレストさんが空のほうを指でさしながら答えました。
 「あそこにありますよ。ようせいが着るドレスは五種類のちがった色のきれでつくるんですよ。五種類の色というのは、まっ青な空の色、白い雲のかかった青空の色、夕日の色・・・・・・これだけだっていろいろの色がありますが、みんなそろっています・・・・・・それから朝日の色と星空の色です。」
 「でも、そういう色のきれをどうやって切るの?」
 「まあ、見ててごらんなさい。あなたはまっ青な空の色がいいですか?」
 「ええ、わたし、雲の色はすきじゃないわ。」
 セレストさんが大声でよびかけました。
 「ジュピテル!」
 すると、ミッシェールが見たこともないような大きなワシがとんできて、ミッシェールたちの足もとにとまりました。
 そのワシに向かって、セレストさんがこういいました。
 「ジュピテル、ようせいのミッシェールさんのために、まっ青な空の色のドレスをつくっておくれ・・・・・・すぐにつくっておくれ。」
 たちまち、ワシはまいあがり、空のかなたに消えてしまいました。が、五分もたつと、ワシはもどってきました。くちばしにきちんとたたんだ空の切れはしをくわえていました。
 ミッシェールは思わずさけびました。
 「まあ!・・・・・・なんてきれい!」
 それまでミッシェールは、この空から切りとったぬのくらい美しいものを見たことがありませんでした。
 そのぬのはたしかに青いのですが、とてもうすい青色でした。ふつうにいうところの白い色はどこにも見あたらないのですが、目には見えないほどうっすらとした雲が、青い空にただよっている感じです。それから、どこにも星は見あたらないのに、なにか目に見えないほどかすかな星がちりばめられてあるようです。
 セレストさんがこういいました。
 「さわってごらんなさい。しめった空気をさわるような感じでしょ。」
 それからセレストさんは、自分のまわりにただよっている空の切れはしをひろげると、それでミッシェールのからだをつつみました。すると、たちまちそれは世にもすてきなようせいのドレスに早がわりしました。からだのわきには三日月のもようがつき、肩のところには星のもようがつきました。
 ミッシェールは、思わず、こういってしまいました。
 「セレストさん、あなた、ドレスをつくるのがとてもじょうずですね。まるで・・・・・・。」
 ここまでいってから、ミッシェールははっと口をつぐんでしまいました。まるでまほうつかいみたい・・・・・・といおうとしたからでした。でも、そんなことをいったら、とてもおぎょうぎが悪いと思ったのです。
 そしてこうたずねました。
 「わたしの羽はどこにあるの?」
 「これからつくるんですよ。でも、それは二番目にすることよ・・・・・・・それよりさきに、はかりにのって、あなたの体重をはからなければならないのよ。」
 「なぜ、そんなことをするの?」
 「ようせいの体重によって、羽の寸法をきめるのよ。あなたのように軽いようせいならいいけれど、もっと太った少女のようせいには、ずっと大きな羽が必要なのよ。」
 はかりが置いてあるへやにいくと、大きなけい示板がかかっていました。それにはつぎのように書いてありました。


体重        羽の長さ
一五キロ・・・・・・0・五五メートル
一六キロ・・・・・・0・五六メートル
一七キロ・・・・・・0・五七メートル
一八キロ・・・・・・0・五八メートル


  はかりではかってみると、ミッシェールの体重は二十五キログラムありました。けい示板に書いてある規則によれば、0・六五メートルの羽をつけなければならないことになります。
 「それでは羽置場へいきましょう。あなた、どんな羽がほしいの?・・・・・・翅置場には、ダチョウの羽でつくったむかしふうの羽と、アルミニュームの骨組みをきぬのぬのでつつんだ新式のとありますけど。」
とセレストさんがいいました。
 「どちらがすてきかしら?」
 「そうね、新式のはずっと早くとべるわね。むかしふうのは、また、ぐっとエレガントですよ。」
 「わたし、早くとべるほうがいいわ。」
とミッシェールがいいますと、セレストさんがためいきをついて、こういいました。
 「やれやれ! 近ごろのようせいは、みんな同じことを考えるのね・・・・・・だから、ダチョウの羽でつくったのが、もう、くさるばかりだわ・・・・・。さ、新式のは、ここにありますよ・・・・・・0・六五メートルの羽・・・・・・一まい羽ですよ。ここには二まい羽のもあるけれど、あなたにはすすめられないわ・・・・・・あなたの年だと、重いから・・・・・・ちょっとおまちなさい、わたしが羽をくっつけてあげますからね。」
 こういうと、セレストさんは二まいの羽を、ミッシェールの肩にとりつけました。つけおわると、あがるときさがるとき、地上におりたものにとまったりするとき、羽をどういうふうに使ったらよいかを説明してくれました。
 「とくに、着陸するときはよく注意するんですよ。」
 「着陸するって、どういうこと?」
とミッシェールはたずねました。
 「地上にとまることですよ。」
 「じゃあ、海の上におりるときはなんていうの?」
 「それは着水といいます。」
 「では、みずうみの上におりるときは?」
 こうきかれると、セレストさんはこまったような顔をしました。
 「えっ! そんなこと、わたし、知りません。やればいいんですよ。言葉で岩魚くったっていいのよ・・・・・・とにかく、そういうときには、羽を半分おりまげるんです・・・・・・それからスピードもおとすんです・・・・・・新米のようせいは、みんな失敗するんですよ。早く着陸しようとするからです。それから町の上をとぶときには、電線にひっかからないように注意するんですよ・・・・・・さて、つぎは、ほら、あなたのまほうの棒ですよ!」
 まほうの棒というのは、木でつくったみじかい棒でした。よく、子どもたちがシャン=ゼリゼ大通りなどでたがまわしするときに使う棒ににています。
 それから、セレストさんは一本のまほうの棒を手にとると、大きなびんのほうへ歩いていきました。そのびんはミッシェールが見たことのないようなびんで、それにはつぎのように書いたはり紙がはってありました。

   『まほうの水』

 セレストさんがこのびんのなかに棒をつっこみますと、やがて棒はガラスのようにとうめいになり、金色にかがやきはじめました。
 セレストさんは、その棒をミッシェールのほうにさし出しながら、こういいました。
 「さあ、これをおもちなさい。これからは、この棒でさわったものはなんでも、あなたの思いどおりのものになりますよ。」
 ミッシェールがたずねました。
 「この棒はこわれやすいの?」
 「いいえ、こわれませんよ。」
 「じゃあ、わたし、この棒を使ってみていいかしら?」
 「もちろんですとも。」
 「わたしには、おとうとがふたりいます。そのおとうとたちのために、おとながのる自動車と同じように走る小さい自動車がほしいんです。もちろん、エンジンのついた、ほんものの自動車ですわ。」
 「いいですとも。棒で地面に、ほしいと思う自動車の絵をかいてごらんなさい・・・・・・。」
 「そしたら、自動車が地面から出てくるの?」
 「いいえ、地面から出てくるのではありません。絵をかけば、もう、そこに立っています。とてもかんたんなんですよ。」
 「そんなことってあるかしら?」
とミッシェールは、信じられないという顔をしました。でも、セレストさんは、笑いながら、
 「まあ、やってごらんなさいな。」
というばかりです。
 そこでミッシェールは、まほうの棒のさきを地面におしあてました。そして赤いすてきな自動車を思いうかべながら、そのりんかくをかいてみました。
 すると、どうでしょう。自動車は地面からでてこないで、気がついたときには、もう目の前におかれてあったのです。
 ミッシェールは、うっとりして、思わずさけび声をあげました。
 「わあ!すてきだわ! この自動車をまほうの果じゅ園にもっていってもいいかしら?」
 ところが、セレストさんは首を横にふりました。
 「それはだめです。まほうの果じゅ園へは、空をとんでいくのです・・・・・・だから、こんな大きなものをもっていくわけにはいかないのですよ。でも、だからといって、がっかりすることはありません。だって、まほうの果じゅ園へいけば、そんな自動車ぐらい、そのまほうの棒をつかって、なん台もつくることができるんですもの。」
 ミッシェールは、ちょっとかなしそうな顔をしていいました。
 「そうね。でも、これと同じものがつくれるかしら? それで、わたし、いつ出かけるんですか?」
 「今からすぐに出かけるのです。出発する場所へご案内しますわ。」
 

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