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『わがままいっぱいの国』 第2章 でたらめカラス

2012.01.16 (Mon)

第二章  でたらめカラス


 ミッシェールには、ラクダの旅行が、とても長く思えました。たぶん、二時間か三時間かかったでしょう。それから砂ばくのまんなかに、木立が見えてきました。つぎに、はるか遠くに、黒いしみのような林があらわれ、それはだんだん大きくなりました。
 ラクダが森の入り口でとまりました。ミッシェールがラクダからおりると、モミの木にくぎづけにされたけい示板が目にとまりました。それにはつぎのように書いてありました。


まほうの果じゅ園

  ご用のかたは、門番のでたらめカラス氏にもうし出てください。

 もっと近くによってみると、モミの木の皮が一部分切りとってあり、そこに小さなまどがあいていました。それは駅やげき場などにあるまど口とそっくりでした。ミッシェールは、そのまど口をたたいてみましたが、だれも返事をしませんでした。もう一度、前よりも強くたたいてみました。すると、やっと、
 「はい、はい。ただいま、ただいま・・・・・・」
という声がきこえました。
 それから、まどがひらいて、一羽の年とったカラスがあらわれました。くちばしの上にめがねをのせ、黒いラシャのまるいぼうしをかぶり、黒いアルパカの小さな上着を着ていました。
 ミッシェールはたずねました。
 「あなたがでたらめカラスさん?」
 カラスが答えました。
 「さあ、どうだかね。」
 これをきくと、ミッシェールは、思わず、こういってやりたくなりました。
 (うそいったってだめよ。第一、あんたの羽は・・・・・・)
 でも、そんなことをいってカラスをおこらせては、と思ったものですから、ただ、こういうだけにしました。
 「カラスのおじさん、わたし、なにがおこったのか、さっぱりわからないの。わたしは両親の家にいて、ベッドにねていたの。ところが、とつぜん、砂ばくのまんなかにほうりだされてしまったの・・・・・・それから、石でできている年とった男のひとに会ったわ。そのひとは、わしはファラオ王だといって、わたしにまほうの果じゅ園にいけってすすめたのよ・・・・・・それから、わたしはラクダにのって・・・・・・そして、ここにきてしまったんだけど、もう、どうしていいかさっぱりわからないの・・・・・・この森のなかに入れてくれるかしら?」
 カラスは、はなの上でめがねの位置をなおすと、ミッシェールをじっとながめました。
 やがて、こういいました。
 「といわれてもこまるな・・・・・・あんた、ようせいかね?」
 「わたしがようせいだって!いいえ、ちがいます、カラスのおじさん。」
 「そりゃ、こまったな。このまほうの果じゅ園にはな、ようせいしかはいれないんじゃよ。で、あんたはようせいになりたいのかね?」
 「そういわれれば、なりたいけれど。でも、わたし、なれるかしら?」
 カラスが羽をものすごいいきおいでばたつかせながら、いいました。
 「なれるだろうよ。なれると思うがねえ・・・・・・でも、それにはちょっとしたテストを受けてもらわにゃならんよ。」
 ミッシェールはびっくりしてさけびました。
 「なんですって!ようせいになるのには、テストを受けなければいけないの?」
 「だと思うね。わしがだす三つの問題に答えなければならない・・・・・・わしが、満足するような答えかたをしたら、ようせいとして認めてあげよう。あんたの答えに、わしが満足しなかったら、あんたは、またラクダの背なかにのって、砂ばくのなかに消えなければならん・・・・・・さて、用意はいいかね?」
 ミッシェールは、とてもあわててしまいました。自分が知っていることをみんな思いだそうとするのですが、頭のなかがまるでからっぽなのです、かの女は考えました。
(ひょっとして、ファラオか砂ばくのことをたずねられたら、うまく答えられるかも知れないわ。だけど、フランスの歴史のことをきかれたら、どうしよう・・・・・・。)
 そこでミッシェールは、胸のなかでそっと、つぶやいてみました。
(ゴール人はキリスト教を信じていなかった・・・・・・かれらは、火と、太陽と、かみなりが大すきだった。)
 でたらめカラスが、一冊の小さな本をひらきました。それからめがねをはずして、そのレンズをふくと、カア、カア、カアと三度ないて声のとおりをよくしてから、こういいました。
 「まず第一は算数。八かける六はいくつかね?」
 すかさず、ミッシェールは答えました。
 「五十四。」
 「たしかかね?」
 「まちがいないわ・・・・・・これで、いいんでしょ?」
 「だろうね。」
とでたらめカラスがいいました。
 「なんですって!だろうねですって?・・・・・・失礼ですけれど・・・・・・あなたも知らないの?」
 するとカラスが、おごそかにこういいました。
 「おじょうさん、わしがここにいるのは、質問するためであって、質問に答えるためではないってことを、わしに忘れさせようっていうのかね。」
 そして歌うようにこうつぶやきました。

  『それに、まほうの果じゅ園にきたからにゃ、八かける六は思いどおりの数になる』

 つぎに、カラスは第二問めにうつりました。
 「それでは、こんどは書きかた。『ニワトリごや』ということばはどう書くかね?」
 ミッシェールは答えました。
 「それは、かんたんだわ!ニ、ハ、ト、リ、ご、や、って書くのよ。」
  かの女は、うまく答えられたと思うと、とてもほこらしい気持ちになりました。それで、いばってこういいました。 「これでいいんでしょ?」
 でも、でたらめカラスは、あいかわらず、こういっただけでした。
 「だろうね。」
 それでミッシェールは、つい、こう口にだしてしまいました。
 「こんなことなら、どんな質問されたって、答えはかんたんね。」
 しかし、でたらめカラスは、おごそかに、質問をつづけるだけでした。
 「そうかといって、テストをかえるわけにはいかない。さてこんどは、わしになにかぐう話を話してくれんかね?」
 すかさず、ミッシェールは答えました。
 「いいわよ・・・・・・わたしは、『カラスとキツネ』っていうお話を知ってるわ。」
 とたんに、でたらめカラスが、そっけなくこういいました。
 「その話は、わしはすきじゃないな。」
 「じゃあ、『セミとアリ』ってのは、どうかしら?」
「それがいい。話してごらん。」
  でも、ミッシェールはそのお話を思いだすのに時間がかかりました。が、ともかく、話しはじめました。
 『セミは夏じゅう歌っていましたが、冬になって、たべものがなくなってしまいました。
 アリが「あついうち、なにをしてた?」
と、たべものをかりにきたセミにききました。
 それから、アリは、こうききました。
 「おどれるかい?」
 「よろこんでおどりますよ。」
 「そりゃ、けっこう。じゃ、歌ってごらん。」

 話しおわってから、ミッシェールはいいました。
 「わたし、最後のところの文句をちょっと忘れてしまったらしいわ。」
 でも、カラスは平気な顔をして、「それは気づかなかったな・・・・・・とにかく、わしはその話がすきだよ。」
 「わたしもすきよ。だって、みじかいんだもの。」
 「そりゃ、いい趣味だな。わしとおんなじだ・・・・・・それでは、あんたの名前をようせいの名ぼに書きこんであげよう。ときに、あんたの名前はなんていうのかね? それから、どんなかたがきをもっているのかね?」
 「それ、どういうこと?」
と、ミッシェールはたずねました。
 「つまりだ、あんたはどういう名前でよばれてるかってことだよ。」
 「ミッシェールよ。」
 「年はいくつだね?」
 「七さい。」
 「きょうだいはあるかね?」
 「おとうとがふたりに、おねえさんがひとり。」
 「成績はクラスで何番かね? たまには、一番になることもあるかね?」
 「一番だなんて、一度だってなったことないわ!」
 こういうと、カラスは安心したようなようすをしました。
 「それでは、あんたの名前を少女ようせいの名ぼに書きこんであげよう。」
 カラスは、そばにあった厚紙を手にとり、くちばしの上のめがねをしっかりかけなおすと、厚紙になにか書きはじめました。書きおわると、その厚紙をミッシェールのほうにさし出しました。
 でたらめカラスの字は、とてもきれいでした。それでミッシェールも、らくらくと読むことができました。厚紙にはつぎのように書いてありました。


 『第二級のようせい、ミッシェール嬢に、まほう王国全土の通行をゆるしこの国で、三万六千のわがままをすることをきょかするものである。
女王陛下に                     門番でたらめカラス』

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